NPOの給料はいくら?どこから出る?なぜ安いのかを解説

「NPO」は非営利法人という名から、利益を求めず、ボランティア・無報酬で活動しているイメージがあると思います。

実はそのイメージは間違いです。NPOでも利益を出すことは問題ありませんし、職員もきちんと給料をもらっています。

この記事では、「NPO職員の給料は民間企業と比べてどうか」「給料の財源はどこか」具体的に解説していきます。

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目次

NPOの給料はいくら?

行政の資料によると、NPOの正規職員の平均年収は173.5万円から301.1万円で、非正規職員の平均時給は759円から1059円です。

人数の規模で民間企業の年収と比較すると、民間企業は362.3万円から393.7万円に対して、NPO法人は267.2万円から335.5万円と低い傾向にあるのが現状です。

参考:労働政策研究報告書 No.12 23ページ 第4-5-1表 平均年収と平均賃金

なぜNPOの給与は低いのか

NPOの給与が低い理由は、組織の目的にあります。NPOは社会課題の解決など、社会的活動を目的とした組織です。

NPOの財源である寄付や事業費などから職員の給料や、活動にかかる諸費用などの経費を引いて残ったお金は分配することができず、社会的活動に使わなければいけません。

そのため、どうしても予算における人件費の割合が低くなってしまうのです。

外務省が発行するNGOデータブック2021*によれば、国際協力分野のNPOの年間予算は1億円未満の団体が全体の75%。またその中でも、1,000万円未満の団体は44%を占めています。

前述したように、年間予算額における人件費の割合は比例しているため、NPOの給与が企業に比べると低いのです。

参考:外務省 NGOデータブック2021

給料はどこからでているのか?

NPOは、主に以下の4つの収入を財源としています。これらの収入の一部から給料に充てています。

自主事業収入

自主事業収入とは、NPOが自主的に行う事業やサービスで得られる収益です。
例えば、病児保育サービスの提供やフェアトレード商品の販売、などが該当します。

委託事業収入

委託事業収入は、国や行政から委託された事業を運営することで得られる収入です。事業の運営が軌道に乗り安定してくるとまとまった収入を得られるため、メリットが大きいです。

しかしある程度の活動実績が必要で、NPO法人を設立してからすぐに委託事業をもらえるわけではありません。既に実績のあるNPO法人が、依頼されやすい傾向にあります。

会費

NPO法人に所属している会員が支払うお金です。
会員には正会員と賛助会員(準会員)の二種類あります。

会費の金額はNPOごとに違いますが、正会員の会費は10,000円前後、賛助会員の会費は3,000〜5,000円とする例が多いようです。

正会員の方が会費は多い分、組織運営に意見を言えるため会員が増えると利害関係で衝突してしまいます。そのため活動や趣旨に賛同する賛助会員や、資金面を支援する寄付会員を募っているのです。

寄付金

NPOの事業に賛同する個人や企業から、見返り無しにもらえる物資や金銭を指します。
活動全体の趣旨に対する寄付金であれば、使用用途は限定されません。
一方、特定の事業活動に対する趣旨の寄付金であれば、使用用途が限定されます。

寄付という行為が日本には浸透していないため、欧米に比べると金額が少ないのが現実です。

助成金

NPOの活動や事業を支える財団や民間団体から提供される一時的な支援金です。
助成金を得るには、申請用紙などの記入が必須で面接や審査があります。

NPOを設立後もらえる助成金は限られています。その上、法人資格を取得してから3年以上の活動実績が必要など厳しい条件が設けられているケースもあります。

助成金は、連続申請が認められなかったり、内容が変更されるなど安定してもらえないのが難点です。

NPOは利益を出してもいいの?

NPOは、無償で行うボランティアとは異なり、収益をあげることは認められています。
ただし非営利法人のため、事業で得た収益を関係者へ再分配することは禁止されているのです。

例えば事業で大きな利益をあげたからといって、職員に臨時ボーナスを配ることは認められません。

NPOでもボーナスの支給は認められますが、あらかじめ定めた金額を超えて、一時的な利益を関係者に再分配することは認められないのです。

事業で発生した利益は、別の事業の資金や翌年の繰越金にするなど、関係者への再分配以外の方法で処理する必要があります。

このようにNPOは、民間企業とは異なり利益の分配に制限がありますが、利益を得るための活動をするのは構わないのです。

まとめ

NPOの給料の財源は、事業収入や寄付金、助成金などがメインです。ただし給料の金額は団体や法人によって様々であり、民間企業と比較すると低い傾向にあります。

とはいえ、NPOは完全なボランティアではありません。事業を継続し、職員の生活を守るために利益を出しても構わないことを理解しましょう。

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