NPOの仕事内容は?きつい?NPOの現役職員が徹底解説

NPOの活動領域はまちづくり、社会教育、災害緊急支援、地域安全、国際協力、子どもの育成など多岐にわたります。

NPOで働き、社会の役に立ちたい!と思っているものの、

・どのような仕事があるの?
・仕事は大変?
・働き方は?

と思う方はいるのではないでしょうか。

この記事では、NPOで働くうえで皆さんが疑問に思うことを現役のNPO職員が紹介します。

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NPOで働く編集部

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目次

どのような仕事内容があるの?必要な資格は?

NPOの活動は多岐に渡るため、必須の学歴や資格などはありませんが、一部の活動には専門的な知識・スキルが必要になることがあります。

ここでは具体的な仕事内容と、必要なスキルなどを解説していきます。

支援現場で働く

まずは支援を受ける人と直接関わる仕事についてです。

例えば、国内でホームレスの人たちへの炊き出しをしたり、海外では途上国の子どもたちへの教育支援に現地で携わるなどの仕事があります。
炊き出しの場合、料理のコーディネート、人員の確保、炊き出しの日程や場所などの告知なども職員の仕事になります。

このような支援現場で働くには、コミュニケーション能力が必要となってきます。

支援を受ける人のみならず、行政やボランティア、地域住民など色々な人とやりとりすることがあります。そのため、関係者とのやりとりや事業のマネジメント能力が必要となってきます。

海外の支援現場で働く場合、英語で現地の関係者とやりとりすることがほとんど。英語を話せるだけではなく書類作成などライティングのスキルも最低限必要となります。
そのため、TOEICなど語学力がわかる資格が求められることがあります。

まずは興味のある団体があれば、HPをチェックするなど求人情報を確認すると良いでしょう。

事務所で働く(事務職/総務・経理など)

特に法人格があるNPOは、組織の運営方法や業務は企業とさほど変わりがないと言っていいでしょう。
主な仕事内容としては、支援者やデータベースの管理、各事業に関する報告書作成なが挙げられます。そのため、基本的なPC操作やオフィスソフトを使って行う業務経験があると良いでしょう。

業務は多岐にわたることが多く、職員数が少ないNPOでは1人がいくつもの業務を担当しないといけないこともあるため、臨機応変な対応が求められます。

事務作業の中にも、年次報告書の作成や支援者への手紙の作成など、活動についてより詳しく知る機会は多くあります。

支援者やメディアからのメールや電話での問い合わせ対応もあります。

寄付集めの専門職(ファンドレイザー)

NPOの専門職の1つであるファンドレイザーについて紹介します。

ファンドレイザーの役割は、活動に必要な資金を調達することです。
NPOの主な財源は、寄付や会費・助成金・事業収入であり、ファンドレイザーとしての資金調達は「寄付集め」を指すことが多いです。

寄付・募金というと、街頭やコンビニのレジ横にある募金箱を思い浮かべる人がいるのではないでしょうか。

直接、支援者に寄付のお願いをする以外にも、寄付を集める仕組みを作ることもファンドレイザーの役割です。

近年はウェブを使っての寄付集めをする団体が増えています。例えば、団体の活動をわかりやすくウェブやSNSで紹介し、寄付への導線を構築することもファンドレイザーの仕事です。

非営利組織は「お金を稼いではいけない」と勘違いされやすいですが、実はどれだけ稼いでも良いのです。株式会社などの営利組織との違いは、利益を分配できず活動に使わなければいけないということ。

非営利組織の目的はお金集めではないので、頑張って集めた資金によって課題解決につながることは、ファンドレイザーのモチベーションになるのです。

財源について詳しくはこちらの記事をご一読ください。

「NPOの給料はいくら?どこから出る?なぜ安いのかを解説」

NPOの雇用体系は?

NPO=ボランティアと思われがちですが、企業と同じく正規職員として働いている人もいます。また、正規職員以外の雇用体系もあるので、それらも紹介させてもらいます。

正規職員

企業と同じ、正規職員です。
雇用条件は労働基準法に守られています。社会保険の加入はもちろんのこと、団体によっては福利厚生や賞与もあり、待遇は企業と同じと言えるでしょう。

ただ、給料は一般企業に比べると平均的に低い傾向があります。
詳しくは、こちらの記事をご一読ください。

「NPOの給料はいくら?どこから出る?なぜ安いのかを解説」

契約職員

働き方は正規職員と変わりはありませんが、期間限定や事業ごとで契約する職員です。

例えば、子ども食堂の立ち上げから運営ノウハウを得るまでの3年間、助成金を得て事業をするとしましょう。

最小限の人員で運営しているNPOの多くが、正規職員が新しい事業に関わることが無理な場合、この期間のみ新しく職員を雇用します。

雇用期間終了後に正規職員になったり、事業に従事した経験を元に他の団体で職員となったりするケースもあります。

非正規職員

アルバイトやパートタイマーとして、月に限られた時間働く職員のことです。

事務作業のみであっても、NPOの活動内容や運営方法を知る機会にもなります。

例えば、事務作業会計作業やデータ入力などがあります。他の仕事もしながら、パートタイムとして関わる人もいます。

有償ボランティア

有償ボランティアは、謝金や交通費を受け取り活動に参加することです。

職員への給料との違いは、労働の対価としての賃金ではなく、ボランティア行為に対する感謝の気持ちとしての謝金となります。

例えば、乳がん早期発見啓発活動のイベントなど、多くの人手が当日に必要な場合に有償ボランティアとして人手を募集することがあります。

無償でもお手伝いしたい!という人もいるとは思いますが、交通費の支給があることでより多くの人が参加しやすくなる場合があります。

無償ボランティア

有償とは違い、ボランティア活動への対価としてお金や交通費を受け取らない活動をいいます。

例えば、自然災害などガレキの撤去作業や、被災した家屋の掃除など、これらはほとんどが無償のボランティアです。

特定の団体への継続したボランティアなどもあります。自分が空いた時間に書類整理や発送作業など団体がその時必要とする仕事をしたり、イベントのお手伝いをしたり、さまざまな方法があります。

プロボノ

職業上のスキルや専門知識を活かして取り組むボランティア活動のことをプロボノといいます。

例えば仕事で身につけた広報・ PRの知識やスキルをNPOでボランティアとして役に立てたい!という人が活動にボランティアとして参加することができます。

インターン

ボランティアは自らの時間や労力を活動に費やすことに対して、インターンは自らの学びが目的となります。
将来NPO・NGOで働きたい!NPOの活動を勉強したい!などという人にとって、実務に携わることで団体の活動内容や、日本や世界の社会問題の実情をより知ることができます。

インターンとして関わった人が、職員として採用されるケースはNPOではよく見られます。

NPOスタッフの1日のスケジュールは?

実際にNPO職員はどのような働き方をしているのでしょうか。職員の1日を、キレイな水を途上国に届ける活動をしているNPOを例に紹介します。

海外の支援現場で働くスタッフの場合

現地に住む日本人スタッフのとある1日を紹介します。

海外の支援現場のスケジュール

8:00  オフィスに出勤し、現地スタッフとのミーティング
8:30  車で現場に向かう
9:30  現場の村に着き、井戸建設の状況を視察
10:30  現地住民との会議
12:00  村の食堂でランチタイムとランチ休憩
14:00  別の井戸建設を視察し村人へのヒアリング
15:00 オフィスに戻る
16:00  オフィスにて事務作業
17:00 日本オフィスのスタッフと助成団体とのオンラインミーティング
18:00 帰宅

現場の村に頻繁に行くわけではなく、オフィスでの事務作業に時間を費やすことも。

会計、報告書作成、ファイルの整理、翻訳など多岐にわたる事務作業を少人数でこなさないといけないこともあります。

国内の事務所で働くスタッフの場合

次は国内の事務所で働くスタッフの1日です。

国内事務所のスタッフのスケジュール

9:00  出社後、メールチェック
9:30  寄付者への領収書を発行。お礼の手紙を作成・印刷
11:00  助成団体と事業進捗報告のオンラインミーティング
12:00  現地に事業費を送金する為、銀行へ
12:30  ウェビナーを視聴しながらランチ
13:30 所轄庁に提出する事業報告書を作成
15:00 領収書とお手紙の発送作業をボランティアと行う
16:30  給与計算などの会計作業
18:30 帰宅

限られた有給職員で仕事をしている場合、ボランティアやインターンの役割は団体運営にとって重要なことがわかります。

PC作業のみならず、行政や支援者など関係者とのやりとりもあります。

まとめ

最後にこの記事をまとめると、

  • 直接支援に携わる仕事以外にも、事務職やファンドレイザーといった専門職もある
  • 必要な資格や能力は、NPOによって違うのでまずはどのような活動をしたいのか考えてみることが必要
  • NPOの雇用形態は多く、職員以外でもボランティアやインターンなど自らに合った方法と条件で活動に参加することができる


きつい!大変!と思うことは団体の活動や関わる事業によってはきっとあるでしょう。
しかし、実際に関わってみるときつい、と思う以外にやりがいやモチベーションが見つかることがあります。

ご紹介したように、NPOは正規職員以外の関わり方が様々なので、まずは興味がある団体にどのような形で関われるのか問い合わせ、活動に参加してみることをオススメします。

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